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そろばんで脳を活性化   

人間の脳とそろばん   

最近、そろばんというとすぐ、右脳とかイメージという言葉が聞かれるようになりました。右脳そのも のが非常に肯定的なイメージで捉えられているようです。
  通常、計算は論理・分析的な左脳の機能といわれています。平均的には確かに左が主に 使われています。ところが、珠算有段者の暗算中は、左側頭をほとんど使 わず、右後頭部を主に使います。後頭部は視覚野です。
その右側が主に使われているということは イメージがくっきりと浮かび、そのイメージだけで処理しているということでしょう。将棋のプロ棋士も一生懸命将棋の手を考え ているときには、やはり同じようなパターンです。 わずか 1.4リットルのヒトの脳が、いとも簡単に行なうイメージ思考やひらめき思考は今のコンピュータが決して まねのできない処理方法です。この思考法を充分活用してこそ、人間本来の能力が発揮できるというものでしょう。
 
そろばんは右脳を刺激する

大脳生理学を専攻され、「思考と脳波の関係」が研究テーマの河野先生は、ある報道番組でそろばん日本一 の人の脳波をとったのがきっかけで、そろばんで計算中の人の脳波を数多くデータ処理しておられます。
その結果、大脳生理学では「計算は左脳を中心に行なわれる」という仮説に反して、そろばん熟練者は 「右脳のイメージで計算している」 ことが脳波学的に示され、「そろばん=言語一般論理操作によらない 計算」もあることがわかったそうです。
人間の脳は一般に、左脳=論理的思考分野(言語野など)、右脳=パターン・イメージ把握分野といわれ ます。
脳波には 10Hz くらいの遅いα 波と 20Hz くらいの速い β 波とがあり、とくにβ2波( 20Hz 以上の 速い β 波)が脳の思考活動の部位を示しています。

― そろばん熟練者の脳波の様子は。
「図は、眼を閉じて暗算中の、一般の人とそろばん熟練者の β 2 波トポグラフです。一般の人の場合、 主に左脳が活動しているのに対し、そろばん熟練者の場合は左脳の活動はむしろ抑えられて、右後頭部のパワーが最も強いことがわかります。
これは、被験者自身が「計算中に言葉として意識することはなく、そろばんの珠が浮かんでくる」と いっているように、そろばんによる計算は言語ではなく、右脳のイメージを使っていることを示して いるんですね」

― そろばんを習っている子供の場合は。
「これほどはっきり現われませんが、上達するにつれてやはり右脳のパワーが強くなります。 つまりパターン認識が進むわけで、そろばんは右脳を使わなければならないものだということがわかります」

― 小学校でそろばんを教えるメリットは。
「いまの教育は全般に論理から入って、イメージでとらえさせることをしませんね。 ですから、算数も答えが出ても理解したことにならない場合が多いのです。 そろばんはパ夕一ンから入るので理解が早いし、理解できればおもしろい。 おもしろいから算数が好きになり、自信にもつながってほかの教科にもいい影響が出てくるんじゃない でしょうか」

― 創造性を育てるニとになりますか。
「簡単には結びつきませんが、確かに分数や割合はイメージがわかないとこなせませんから、右脳を 使います。
それを伸ばし訓練するための、フォロー態勢が必要でしょうね」暗算力だけを考えれば、幼稚園くらい から始めるほうが速くなるそうですが、そろばん操作のためには指の動きがしっかりしてくる 3 ・ 4 年生 が適当、と先生もおっしゃいます。
ちょうどこの時期に算数嫌いがふえるといわれていますが、そろばん学習が算数離れをくい止めるよい 施策になるかも知れません。


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そろばんと認知症予防

急速に高齢化が進んでいる日本において、認知症予防は大切な論点です。

人はだれしも、痴呆にはなりたくありません。しかし、ボタン1つで何でもできる便利な時代になると、自分のカラダを使うことがなくなり、脳の基本的な働きを怠りがちです。

ですから、老人性痴呆症が問題になることは当然ともいえます。

では、どうすれば痴呆を予防することができるでしょうか?

認知症予防とは、脳の活動が衰えることに他なりません。

とするならば、、日ごろから脳の活動を活発にして脳の衰えるスピードを遅くすることで、認知症予防できそうです。

しかし、人は、来るかわからないものに対して予防することは後ろ向きです。成人病に備えて日ごろの食生活を変えようと思いつつも、なかなか実践できないのと同じですね。

となると、具体的にどういう対策をとればよいでしょうか?

その対策のひとつとして、日常生活の中で脳を使う習慣を作っていくことが考えられます。

そこで、そろばん暗算です。

計算することを“習慣”にすると、日常から脳を活性化させることができます。ということは、改めて認知症予防のために何かをしようとしなくても良くなります。結果的には時間の節約になります。

運動のために、歩いてスーパーへ行き、脳を使うために、買い物をしながら計算をする。

一見すると面倒に思えますが、これが“習慣”になれば苦痛という意識はなくなってきます。これからの時代は、便利な道具をあえて使わない習慣作りが大切になってくるではないでしょうか?

たとえ1桁の足し算・引き算しかできなくても、一円の位の数字を当てるだけで、立派な計算です。お釣りを考えてレジに向かえます。

たとえば、下1桁が4円だとわかれば、4円を用意してレジに並びましょう。下1桁が7円なら、2円か7円を用意してレジに並びましょう。

衰えないためには、日々使うまでです。とてもシンプルです。

メジャーリーガーが40歳を過ぎてもバリバリ動けるのは、筋トレを欠かさないから、らしいです。衰えるスピードを落とせば、長く続けられるということです。

ぜひ、できる範囲で、計算を生活の中に取り入れてみてください。小さな習慣がやがて大きな効果を生み出します。


認知症予防の一環として、そろばん暗算を学習なさろうとしている方は、ソロバンを使いながら学習されることをお勧めします。

ソロバンを使うことで、脳の指令どおりに指が動くかチェックできますし、何より実際に指を動かすことは、脳の働きを活発にするからです。

ソロバンを使って、ソロバンの仕組みが染み付いたところで、そろばん暗算にチャレンジしてみてください。





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そろばんとコンピュータ

そろばんは、コンピュータが生まれてきた源泉といえます。そろばんは、日本文化の中にディジタルの文化があることを我々に教えてくれます。コンピュー タに触れる前に日本のディジタル文化のそろばんを使うことは、コンピュータ の扱いに慣れることにもつながってきます。
そろばんの珠をマニュピュレイトできればコンピュータの操作も簡単にできます。なぜならば、そろばんの珠をマニュ ピュレイトすることは手先を器用にすることと同時に脳の活性化につながるからです。今我々に必要なことは、通常の読み・書き・そろばんと同時にサイバー上の読み・書き・そろばんを身に付けることです。


そろばんと暗記力

昔は、読み・書き・そろばんが学習の中心でした。そろばんは素晴らしい実用計算機で、学校教育の中でもっと重視されても良いと思います。
今やだれでも海外旅行に行く時代。為替の両替程度は暗算でできるようにしておきたいものです。機械に頼り過ぎると、人間が本来持っている能力が低下して来る。記憶力にしても同じで、短縮ダイヤルに慣れてしまうと、いざ外で電話をかけようとしても番号を思い出せず、メモに頼らざるを得なくなる。 そろばん歴の長い私の先輩は、今でも百以上の電話番号を暗記されている。もともと記憶力の差もあろうが、短縮ダイヤルなど使わずにきちんと番号を押してかけては覚えておられるのでありましょう。


そろばんと暗算

そろばんを習った人は、暗算する時にそろばんを頭の中に映像としてとらえて計算します。囲碁の棋譜を並べる時も同じです。ある程度強くなると自分が打った棋譜ばかりか過去の名勝負でも何でも、簡単に並べ直すことができるようになります。要するに、一つ一つ理屈で覚えるのではなく映像として記憶するので、大量の情報も容易に格納することができるのです。 そろばんを習い、暗算のトレ-ニングをすれば、同時に記憶力の向上にも役立ちます。
せっかく昔の人が便利で良い道具を発明してくれたのです。電卓に頼らないで、そろばんの良さをもう一度見直しましょう。


そろばんを見直そう

そろばんを使えば、抽象度の高い量を具体的に表すことができるます。 そればかりか、そろばんであれば、簡単に繰り上がり・繰り下がりの計算操作ができてしまう。上梁に設定されている五珠と下梁の珠二つで7というように、数を簡単に量で表すことができる。位置の位に数を9までしか入れることができないから、10であれば左となりが十の位なので、下梁に珠1個を置けばいいのです。
そう考えるとそろばんを使うことで、数を量で表現し、計算の法則もこれを使って学ぶことができることがわかります。つまり、そろばんの構造そのものが、「量の概念」や「繰り上がり・繰り下がりの仕組み」を理解する上でも、これ以上恰好の道具はないと言えるのです。
日本の伝統文化はこのように素晴らしい道具を生み出しているにもかかわらず、小学校で数の導入のときにそろばんを使ったという話を聞いたことがありません。そろばんの効用を再認識してみてはと思うのですが、いかがでしょうか?


人間の脳とそろばん

最近、そろばんというとすぐ、右脳とかイメージという言葉が聞かれるようになりました。右脳そのも のが非常に肯定的なイメージで捉えられているようです。
  通常、計算は論理・分析的な左脳の機能といわれています。平均的には確かに左が主に 使われています。ところが、珠算有段者の暗算中は、左側頭をほとんど使 わず、右後頭部を主に使います。後頭部は視覚野です。その右側が主に使われているということは イメージがくっきりと浮かび、そのイメージだけで処理しているということでしょう。将棋のプロ棋士も一生懸命将棋の手を考え ているときには、やはり同じようなパターンです。 わずか 1.4リットルのヒトの脳が、いとも簡単に行なうイメージ思考やひらめき思考は今のコンピュータが決して まねのできない処理方法です。この思考法を充分活用してこそ、人間本来の能力が発揮できるというものでしょう。 


そろばんと数感覚

買い物の時など、日常生活の中で暗算が得意ですととても助かります。実社会に出るとそろばんは役に立たないという見方が大勢を占めているようですが、実情は少し違うように思います。電卓・パソコンが普及している今日、若い人達の数字感覚は退化し、このことは、企業の実務の第一線の管理者の間でも大きな問題とされてきています。そろばんは単に計算する道具ではなしに数字からみた物の考え方・判断力を養い、計数感覚の習得を通じて仕事の成果を高めるものと言えます。
珠算学習は人間の能力を高め生きていく上でもおおきな武器となるものです。であるからこそ、シンガポール・台湾・中国・タイ・アメリカ・ブラジルなどの諸外国でも珠算が注目され、珠算学習者が増加しているのでしょう。

珠算学習の効用

珠算というものは、我々日本人が優秀な民族であると言われてきた、そのベースを築いてきたものの一つではないかと思います。今、日本は産業分野において中国を中心とした国々に猛烈な追い上げを受け、産業競争力を失いつつあります。国の競争力の源泉となるものは何かといいますとそれは、確固たる教育にあると思います。かつて、競争力を失いつつあったアメリカを救ったのは、レーガン大統領による教育改革・教育の底上げであったことは広く知られています。今、珠算教育に携わる者に最も必要なことは、今一度珠算学習の効用を再確認し、次代を担う子供達により効果的な珠算学習の機会を提供することではないかと考えています。





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そろばんの教育的効果

子供たちは、からだを使ったり器具を使ったりして学習することを喜びます。そろばんの学習では、自分の 指で珠をはじき、目で動きを確かめ、頭で考えます。
また、珠の動きから生ずる音も学習意欲を高めます。 木でつくられた道具、手・目・耳を同時に働かせ、頭の中で正確なイメージ化ができるようになるそろばん。
さらに、そろばん学習は自分が操作する珠の動きく計算のプロセス)がはっきりわかるので、楽しく学習 しながら数感覚を養うことができるのです。 そろばんを学習することは、指先の敏捷性、計算の迅速性、仕事の計画性などを育成し、これが人間の能力 開発の原動力になります。

数の原理が理解できる

子供が数字を習いはじめのころ、 28 を書くのに 208 (にじゅう・はち)と書くことがあります。 これは数字を書き表わすときに、その位置によって大きさを表わすという「位取り J の原理を理解して いないからです。

そろばんでの数の表わし方は、数字の書き表わし方と同じなので、数の書き方、読み方がスムーズに理解 できます。
そろばんに数を置くには、横書きの算用数字をそのまま盤面に置き、空位の表示も同じです。 こんなことはあたり前と思いがちですが、文章を縦書きにしていた中国や日本で、何百年も前から行なわ れていたことには驚かされます。
だからこそそろばんは、古くから用いられてきた計算器具ですが、むしろ近代的な構造をもった器具で あったため、今日まで使われ続けてきたといえます。

計算のプ口セスがわかる

電卓はキーを押すだけで答えが出てくるので、計算のプロセスがわからず、計算力は身につきません。 そろばんの学習では、珠の動きを見ながら計算のしくみを考え、自分の力で答えを出します。 たとえば 7 + 8 のとき、電卓では 15 とすぐに答えが出ますが、そろばんでは「 7 に 8 をたすと 10 という繰り上がりが必要」という筋道のたった思考を通して、計算力が身につきます。

計算力が身につくと、桁の大きな数、小数の計算へと発展させ、いろいろな場面で正しく速い計算処理が できるようになります。
また、大きく数をとらえる概数・概算に強くなり、判断力や分析能力にも結びつきます。 そろばんの計算の基礎となるのは、「 5 の合成と分解( □ + □ = 5 )」、 「 10 の合成と分解( □ 十 □ = 10 )」の暗算だけですみ、あとは具体的な珠の操作により計算できる のです。
ですから、計算における負担が少なく、低学年でもよく理解できます。計算でつまずいていた子供たちが 「そろばんを習うことによって救われた」という例をよく耳にするのは、こうした基本的な理解力が助けになるからです。

根気と集中力、精神面の効用

いまどきの子供は「集中力がない」「ねばりがない」といわれる半面、興味のあるものには人一倍の関心と 執着を示します。 そろばんの学習は、右脳のイメージ化を必要とするため、精神を集中しなければならず、計算中はひと言も しゃべらず無心にひとつのことに打ち込みますから、子供たちに大切な集中力、根気が養われます。 また、計算のプロセスを筋道だてて理解しようと努力することから忍耐力が培われ、がんばってやり遂げる 態度が身につきます。

これは大きな自信につながりますから、ほかの勉強にも大いに役立ちますし、努力する姿勢がチャレンジ 精神を育て、将来社会人として役に立っ大きな要素になります。

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そろばんの歴史


世界最古の計算用具

先史時代の 5500 年前、シュメール人はチグリス・ユーフラテス両河畔に人類最初の都市国家を築きました。
彼らが建設した神殿の一部のジグラード塔(階段塔)は、全部手の形をした泥の固まりで構成され、この塔から数字の印章痕と穴のついた 1 枚の計算タブレット(泥土版)が発見されました。
これが世界最古の計算用具で、以後これを基にさまざまな変化と進展が重ねられるのです。
手の形をした泥の固まり、それは人類が 10 本の指をもっていたおかげで計算することを知り、数の列を無限に広げていくことを教えたのも、この 10 本の指だということを意味しています。
もし私たちが 10 本の指をもたなかったら、数に関する技術の進歩はなかったでしょうし、計算法や精密
科学の進歩も原始的な状態のまま止まっていたと思われます。

西欧のそろばんはタテ型だった

いまから 3000 一 4000 年前、メソポタミア地方で砂の上に石を置いて計算する「砂そろばん」が発明され、500 年くらい後になるとエジプトやギリシャ、ローマで、盤の上に横に線を引いて、その上に玉(ジェトンと呼ばれるコイン型のもの)を並べて計算する「線そろばん」が使われていました。紀元前 300 年一紀元後 400 年には、ローマ人が「溝そろばん」を使っていました。これは盤に溝が掘ってあって、その中に計算する玉をはめこんだもので、現在の日本の 4 っ珠のそろばんに似ています。
しかし、西欧のそろばんはタテ型が基準だったため、この「溝そろばん」は特殊な形態だったのです。

そろばんの原型は中国で完成

中国でいつごろからそろばんが使われていたかは定かではありませんが、ローマの「溝そろばん」がシルクロードを通って中国に渡ったという説が有力です。
1700 年前の古い文献 『 数術記遺 』 に、そろばんの図とともにそろばんのことが書かれています。
それは後世のような型のものではなく、当時エジプトやギリシャ、ローマで使われていた「溝そろばん」
によく似たもので、上玉が 1 個、下玉が 4 個になっています。これが中国そろばんの起源といわれて
います。
中国に伝わったのちも、長い間そろばんは使用されず、中国古代からの「籌(ちゅう)」による計算方法が、「算木(さんぎ)」と呼ばれる計算用具を用いて行なわれていました。
筆算を知らなかった時代に、赤と黒のマッチ棒のような算木では、たし算・ひき算・かけ算・わり算のほか、とても難しい高次方程式の計算までしていたのです。元朝末( 14 世紀)の文献に「算盤 J という言葉があり、当時そろばんがだいぶ普及していたことがわかります。くだって明朝末( 17 世紀)になると
『 算法統宗 』 などが出版され、そろばん計算が主体になって中国の民衆数学は急速に発展していきました。
串刺しの東洋、バラ玉の西洋西洋の「線そろばん」では、手前に引いた線が 1 の位、その上の線が 10 の位を表わし、 5 を表示するのは 1 の位と 10 の位の線の中間に玉を置きました。
5 を補助単位としていたことは東洋も西洋も同じですが、その表示のしかたが違うのです。
たとえば 8 は、東洋のそろばんでは 5 と 3 を同じ位置で表示し、 8 というひとつの象形数字になって
いますが、「線そろばん」では 5 と 3 の位置が違います。玉を串刺しにしたかバラ玉にしたかによって
違いが生じたのです。
この表示はギリシャ、ローマの象形数字の 8 ( Ⅷ )に相通じるものがあります。
また、数を横に配列して表示く東洋)したか、縦に配列して表示(西洋)したかの違いもあります。
横書きの西洋がそろばんの数を縦に表示し、縦書きの東洋が横に表示した原因については、まだ研究がされていません。
数を縦に表示した西洋の「線そろばん」が、筆算の台頭とともに消滅したのに対し、東洋のそろばんは
筆算が輸入されたのちも共存して、現在に至っています。
その盤に表わされた数は、計算のできる象形数字になった、世界に類をみない数の表現なのです。

日本伝来は室町時代

日本にそろばんが伝わってきたのは、おそらく室町時代の後半、 16 世紀の終わりごろと思われます。
中国との貿易が盛んになるにつれ、貿易商の手で長崎、堺(大阪)などの港町に持ち込まれたようです。
現存するそろばんで最古のものは、加賀の前田家に伝わるものといわれています。
豊臣秀吉が朝鮮に兵を進めた文禄の役( 1592 年)の折、肥前名護屋(佐賀県松浦郡鎮西町)に本陣を設けたときに、藩主・前田利家が陣中で使用したとされています。
江戸時代初期の 1627 年、数学者・吉田光由が数学の原理をやさしく説明した 『 塵劫記 』を者わし、
大業の聞に数字カ亨侵透しました。
そろばんは 『 塵劫記 』 とともにしだいに普及して、子供たちも寺子屋で読み書きと一緒にそろばんを
習うようになりました。

和算とそろばん

中国の数学書を基にして、江戸時代に独自の発展をとげた数学を「和算」といい、これを世界的水準に
高めたのが近世の大数学者・関孝和です。彼が研究・発見した中で有名なものに、天元術(代数学)、
円理術(微積分学)があります。
当時、鎖国の日本では発表の機会がありませんでしたが、西洋の数学者より早く発見した数式も多く
あります。
和算家たちは、こうした高次方程式の計算を算木によって行なっていましたが、畳一畳、二畳分の大きさの算盤(算木を置くます目のある盤)を使い、時間もかかったので、特殊なそろばんが開発されました。
これを「天元そろばん」といいます。江戸時代も後期になると、そろばんは商人、和算家、役人(武士)
など、広く庶民の間にいきわたり、生活の中に溶け込んできました。
同時に製造技術も発達し、精巧な日本式そろばんが大量につくられるようになりました。

そろばん製造技術の本格化

中国から伝わったそろばんは丸いダンゴ珠で、珠をなでるようにして使います。
中国ではその型が数千年前から現在まで変わっていませんが、日本ではより速く正確を期すため指で
はじく操作に変わり、それに合わせて珠も鋭角の菱型に改良。珠数・石徴ともに小型化し、日本人に向く計算器として今日の型に完成されていったのです。日本で最初にそろばんがつくられたのは、中国からそろばんが伝わったころ交易港であった長崎、近江(滋賀県大津市)あたりだと思われます。
江戸時代に算盤町として栄えた大津の「大津そろばん」は、片岡庄兵衛が支那算盤を見本として彼独自のそろばんを製造したのが始まり( 1612 年)といわれ、「庄兵衛そろばん J とも呼ばれました。

学校教育、そして 4 つ珠へ

時代は明治に代わり、 1881 年(明治 13 年)「教育令」が発布され、小学校 3 年生までが義務教育になりました。
そして、父母や社会の多くの人たちの希望を入れ、そろばんが学校教育に採用されたのです。
昭和に入り、 1935 年(昭和 10 年)の教科書改訂に際して「算術教育の大綱」がつくられ、小学校では
そろばんが必修になりました。
同時に、そろばんも 5つっ珠から現在の 4つ珠へと変わりました。
戦後も戦前からの流れを汲んで、小学校でそろばんが採用され今日に至っていますから、そろばんは学校教育の中で実に 100 年以上もの歴史があるのです。





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そろばんの優位性

八イテク時代といわれ、コンピュータや OA が一般化されつつある今日、ともすればそろばんの存在は過小評価されがちです。
しかし、いかに科学が発達しようとも、数値を具体的に表現し、人間の計算能力を無限に引きだす特性は、いつの時代も変わることのないそろばんの生命なのです。

計算機に使われるのではな<、それを使いこなすことによって、能力の開発のみならす人間形成にも貢献できるのは、そろばんをおいてほかにありません。
学校教育においても平成 4 年度からの学習指導要領で、小学校第 3 学年に加えて第 4 学年まで、そろばんの学習時間が拡大されました。
このことは、世界 46 力国でそろばんが使われ、海外でもその教育的効果が学問的に評価されていることとあいまって、そろばんの優位性を明確に物語っているといえます。

日本人が器用なのは、日本の伝統文化である「箸とそろばん」のおかげとよくいわれます。 どちらも幼いころから日常生活の中で自然に身につき、知らないうちに指先の訓練をしているからです。 そろばんの学習は、日本の伝統文化を尊重することを教えるだけでなく、このコンピュータ全盛時代にも 十分に活用できる優位性があるのです。

そろばんは約 500 年前に中国から日本に伝えられ、その後日本人の知恵により、機能的に優れた現在のそろばんに改良されました。古くから「読み書きそろばん」といわれ、読み書きとともに教育の基本のひとつとして重視されてきたそろばん。
これを駆使した珠算技能は、日本の教育・産業・経済の発展に大きく貢献してきました。
国力のバロメーターに「国民の教育水準の高さ」をあげることがありますが、計算力はその中でも重要な部分のひとつです。

日本人の誰もが簡単な計算なら暗算できる、その計算力に世界の人 々 は驚きます。
これは桁読みの正確さとともに、幼いころからそろばんの練習を積んできたからにほかなりません。
日本ではあたり前のこととして受け取られている計算力。 これを維持・発展させている原動力にそろばん教育があり、それにより多くの優位性が養われていることも事実です。

さらに、最近の研究で人間の脳は、左脳と右脳の機能が異なることがわかってきました。 左脳は話す・書く・計算するなど推理・思考伴」断する「理論的機能」を、右脳は空間構造の把握・描写・創造力など知覚(イメージ)する能力、「情緒的機能」をもつとされています。そろばんの学習は、そろばんを用いて計算するだけでなく、数字を見れば珠のパターンがパッと浮かぶ訓練へ進むことから、左右両方の脳機能にかかわる学習といえます。そろばん熟練者の実験からも、学習経験が進むと左脳より むしろ右脳を働かせて計算するようになり、脳機能に柔軟性がみられます。

また、そろばん熟練者はイメージ想起力に優れていることもわかりました。 機械化された社会で不器用な子供がふえているといわれますが、そろばんがその予防になるという報告もあります。
指先の細かい動きと目・脳の働きを連動させるそろばんは、計算能力を高めるだけでなく知能の開発や 脳の活性化につながり、脳を創造的に使う別の分野にもよい効果が出ています。

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海外でのそろばん


そろばん」はいまや国際語です。
そろばんのことを、中国語では「スワンパン」、ロシア語では「ショティ」といいますが
、アメリカやヨーロッパ諸国をはじめ、世界中で日本語の「そろばん」がそのまま使われ、
国際語になりつつあります。
『 ウェブスター 』 (世界的に権威のあるイギリスの辞典)の国際語版には、「 Soroban 」
という語が掲載されているほどです。
最近では日本だけでなく広く海外でも、そろばんは「世界最高の算数教具」との評価を得ています。
そして、算数の理解を深めるとして、学校教育にそろばんの学習が積極的に取り入れられ、成果を
上げています。


アメリカ

海外のそろばん教育への取り組みの中でも、アメリカは日系人が多いといカこともあり、ことのほか熱心
です。
1977 年には南カリフォルニア大学内に「アメリカそろばん研究センター」が設置され、そろばんの教育学的
活用を目的とした研究が進められています。
そろばんは教育的にも、子供の頭脳の発達に重要な働きをもたらすという点から注目されています。
位取りや十進法など数の基礎を理解させるすぐれた教具であり、抽象的な数を具体的な珠で表現することが理解を容易にさせ、器具を使用することが学習への積極的な態度に効果があるとして、公立学校の算数の中に採用する学校がふえています。

コンピュータ原理を開発し、世界中に電卓を普及させたアメリカで、電卓をどんなにうまく教材に使っても
養うことのできない、暗算力を高めるそろばん学習によって、算数嫌いの子供が減ったという報告もあります。

南カリフォルニア大学ではそろばんを教育課程に組み入れ、大学院修士課程に「珠算講座」を設けて、
その教育的効用を研究しています。


中国

中国では、そろばんの発祥地である日本からの働きかけにより 1979 年に「中国珠算協会」が、国家機関の一部として設立されました。この機関の発足によって、昔からあったそろばんが新しいもののように関心を集め、全国の小学生がそろばんを学んでいます。現在は 3 年生が必修で年間 36 時間を充てていますが、中国ではそろばんが日本とは違ったとらえ方をされています。

それは「三算結合教育」といって、珠算・筆算・暗算の計算方法をできるだけ同じ方式にまとめようというもので、 1985 年に国家教育委員会(文部省)が積極的に研究指導に乗り出しました。そろばん教育は小学校だけでなく、職業中学校、財経類の大学、あるいは計算人材を養成する社会人にまで普及しています。

使われているのは 5 つ珠の中国そろばんですが、日本式の小型化されたそろばんに関しカ塙まり、その改良・製造が進んでいます。


ブラジル

1956年にサンパウロ珠算学校が開設され、日系の企業、私立小・中 ・高校、日本語学校などにそろばんが広まっています。

1979 年には南米最大の銀行ならびにその付属小・中学校 16 校で、そろばん教育が始まりました。
現在のところ、多くは日系ブラジル人子弟が対象ですが、現地の新聞報道では「集中力が強まる、計算力がつくなど、学業方面に大きな効果があることが諸外国で認められている」「珠算 3 級くらいになれば立派な技術者として認められ、 1 級ともなれば電卓など及ばない速さ」と好意的に報じています。


インド

インド政府からの要請で、 1979 年に同国の教員に対し、そろばんとその指導法について集中講義が行なわれました。
講義後、珠の具象性による取り扱いが数の概念の養成や計算に役立っとして、今後の数学教育に採用したいとの感想がありました。

また「インドでは紙が非常に不足しているので、そろばんを使うことにより、紙やノートなしで計算する
ことができる」という意見もあり、思わぬメリットを気づかされました。


トンガ

同国王はそろばんのよき理解者で、「算数教育にプラスになる」として、小学校教員や教育大学の学生にそろばんの研究を指示しています。
1985 年には「トンガ珠算教育協会」が、国王の支援により設立されました。
ところが、指導者がなかなか育たないので、国費で学生を日本に派遣しそろばんを勉強させることにしました。
ラグビーで有名な大東文化大学出身のナモア君とラトウ君は、トンガからそろばん技術を身につけるために留学したことは、意外に知られていません。


ヨー口ッパ諸国

イギリスをはじめヨーロッパ諸国では、現在のところ個人のボランティア活動にとどまり、まだ公式化
されていないのが実情です。
しかし、その活動を通じて、そろばんを学習することでどのようなメリットが生じるか、などの研究や議論が高まっていまち 1987 年にはイギリスのテレビでデモンストレーションを実施。
13 歳の少年が 2 桁 × 2 桁のかけ算の答えを暗算で出し、拍手喝采を浴びました。やってみせたのがイギリスの中学生だったことが視聴者を驚かせたのか、以来問い合わせが殺到しました。


その他の国々

カナダ、メキシコ、シンガポール、べトナムなどで、現地の日本人を対象にした珠算塾、教員や大学での
講座、デモンストレーションが展開されています。
どの国でも好評で、あまり矢口られていない日本のそろばんの教育的効用に驚き、新たな講座要請が出されています。
そのほかフィリピン、タイ、オーストラリアなどでも、そろばんを研究する数学教師がふえています。
また、教育大学などでそろばんの研究を進めている国もあり、そろばんはもはや日本だけのものでは
なくなっています。





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二大産地、播州・雲州

「播州 そろばん」で知られる播州(兵庫県小野市)では、豊臣秀吉の攻撃を受け三木城(三木市)が陥落した折、難を避け大津に逃れた人たちがそろばんの製造技術を身につけ、戦火がおさまると( 1786 年)小野にもどり、製造を始めたといわれています。
一方、「雲州 そろばん」として有名な雲州(島根県仁多町・横田町)での製造は、文化年間( 1804 一 1807 年)のこと。仁多町の地主が、傷んだそろばんの修繕を宮大工の村上吉五郎に頼んだのが始まりとされています。

同じ頃、隣村・横田の高橋常作、村上朝吉という二人の大工が吉五郎の技術に改良を加え、完成したのが「雲州そろばん」です。
そのほかの産地に、京都、大阪、広島、名古屋、東京、博多、北陸などがあり、かなり広い地域で製造 されていました。
そして、それぞれに珠や軸(上下の棒)、指し方(組立)に独特の工夫を凝らしていたのです。

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